新規事業の立ち上げで、3Dプリンターの選び方に迷っていました
新規事業を立ち上げる工場から、必要な設備が分からないという相談を受けました。新規事業の立ち上げでは、何を揃えればいいのか判断しづらい場面が多くあります。
今回は、機械メーカーの営業担当から性能の高い業務用3Dプリンターを勧められ、導入をほぼ決めかけている段階での相談でした。
稼働率が上がらないまま、保守料だけがかかっていました
導入後の状況を聞くと、高額な業務用3Dプリンターは動いてはいました。造形サイズや対応材料が実際の用途と合っておらず、使える場面が限られていました。
結果として稼働率は低いまま、保守料だけが毎月発生する状態になっていました。設備投資の金額に対して、得られている効果が見合っていませんでした。
方式や材料によって、得意な造形物が違います
3Dプリンターは、熱で樹脂を溶かして積み上げる方式や、光で樹脂を硬化させる方式など、いくつかの方式に分かれます。方式ごとに得意な造形物と、精度・強度の傾向が変わります。
試作の精度を求める用途と、量産に近い数を作る用途では、必要な性能の中身が違います。前者は寸法の再現性や表面の仕上がりが重視され、後者は造形時間や材料コストが重視されやすいです。
機械メーカーの営業担当から「これなら色々いけます」という説明を受けることがあります。汎用性の高さをそのまま鵜呑みにせず、自社の用途に当てはめて確認する視点が必要になります。
幅広い用途に対応できる高額機でも、実際に使う場面は限られていることが多いです。性能の一部しか使わないまま保守料だけがかかり続けるという状態が起きやすくなります。
大きさ・精度・数量・素材を、工程ごとに分けて見ます
設備を選ぶ前に、次の4つを整理しました。
- 作りたい部品の大きさ
- 必要な精度
- 想定する生産数
- 使う素材の種類
この4つを工程ごとに分けて見ると、必要な性能の在り処が変わってきます。試作の初期段階では、形状の確認ができれば十分な場合があります。
精度よりも、素早く形にして手に取れることが優先されやすい段階です。量産を検討する段階になると、材料の強度や造形の再現性が重視されます。
同じ3Dプリンターという括りでも、工程によって見るべき性能は変わります。1台の性能ですべての工程をまかなおうとすると、どこかの工程で無理が出やすくなります。
1台に集約せず、用途ごとに安い機種を使い分ける方法を検討しました
1台の高額機にすべての工程を集約する方法ではなく、試作用・確認用・量産検討用など、用途ごとに比較的安価な機種を組み合わせる方法を検討しました。
1台あたりの投資額を抑えられるため、用途と機種が合わなかった場合の入れ替えもしやすくなります。複数の工場の導入事例を参考にしながら、工程ごとの機種の組み合わせ方を整理しました。
工程を分けてから設備を選ぶ考え方は、他の設備投資にも使えます
設備投資を検討するとき、担当する工程を細かく分けて、工程ごとに本当に必要な性能を確認してから機種を選ぶという考え方は、3Dプリンターに限らず使えます。
汎用性の高さと引き換えに、個々の工程での性能が中途半端になることがあります。工程ごとに求める性能を先に言葉にしておくことが、設備選定の出発点になります。
設計から加工先の選定まで、記事に関係する範囲で対応しています
MACHICOCOは東大阪の会社で、町工場の技術者と提携しながら商品を作るプロジェクトマネジメントをしています。自社に大きな設備は持っていません。
試作段階の設計から、3Dプリンターを含む加工方法の検討、量産を見据えた加工先の選定まで対応しています。開発や製造で終わらず、売るところまで一緒にやっています。
手書きの絵と写真があれば、話を始められます
相談をいただくときは、次のようなものを送ってもらえると話が早く進みます。
- 手書きの絵やスケッチ
- 現物の写真
- おおよその寸法
- 想定している使い方
- 希望する生産数の目安
- 現物があれば現物そのもの
図面がなくても構いません。加工方法が決まっていない段階でも、図面や現物を見ながら製造方法を検討できますので、まずは今の状況を聞かせてください。



