「今の手順書のまま、国内で頼めますか」という相談
中国で製造していた製品を、
関税摩擦の影響で国内製造に切り替えたいという相談がありました。
現地の組立工場向けに作られた手順書があり、
これをそのまま国内の町工場に見積もり依頼していいものか、
という不安を持たれていました。
手順書通りに見積もりを取ると、金額が合わない
海外向けの手順書には、工程の分担や加工の順序があらかじめ細かく決められています。
この通りの工程数・順序で国内の町工場に依頼すると、
想定より割高な見積もりが返ってくることがあります。
工程そのものは間違っていません。
金額が合わない原因は、手順書の中身ではなく、
その手順書が前提にしている工場の使い方の方にあります。
工程の分け方は、設備の使い方に合わせて決まっている
海外と国内では、設備の使い方や工程の分け方、検査の基準が違うことが多いです。
同じ製品でも、どの工程をひとつのラインでまとめて処理するか、どこで工程を分けるかは、
工場ごとの設備構成によって変わります。
海外向けの手順書は、その現地工場の設備や人員配置に合わせて工程が組まれています。
この工程の切れ目を国内の町工場にそのまま持ち込むと、
本来ならひとつの工場でまとめて処理できる作業を、
わざわざ複数の工程に分けて依頼することになりやすいです。
工程が分かれると、そのたびに段取り替えや検査、運搬が発生します。
国内の町工場は工程ごとの見積もりになることが多いため、
工程数が増えるほど費用が積み上がりやすくなります。
どこまでを一社に任せ、どこで分けるかを見る
見積もりを組み立てるとき、
まず見ているのはどの工程をひとつの工場にまとめて任せられるか、という点です。
加工と組立の両方が得意な工場であれば、複数工程をまとめて依頼した方が、
段取りの回数が減り費用を抑えやすくなります。
もうひとつ見ているのは、部品を支給して組み立てだけを外注する範囲と、
材料調達から任せる範囲の線引きです。
材料の調達先や仕入れ値によって、どちらが有利かは案件ごとに変わります。
- その工場が加工から組立まで一貫してできる範囲か
- 部品支給にした場合、支給側での調達・在庫の手間がどれだけ増えるか
- 工程を分けた場合、運搬や検査の回数がどれだけ増えるか
工程を組み替えて、複数の町工場に振り分けた例
海外の手順書に書かれた工程をそのまま踏襲せず、
複数の町工場それぞれの得意分野に合わせて工程を組み替える方法を検討したことがあります。
ある案件では、部品を支給して組み立てだけを一社に依頼する形と、
材料調達から加工・組み立てまでをまとめて一社に発注する形を比較しました。
部品ごとに得意な工場が分かれていたため、支給と一括発注を工程ごとに使い分けることで、
工程全体の段取り替えの回数を減らすことができました。
手順書に書かれた工程の順序を変えずに、担当する工場だけを分けるやり方では、
この段取りの重複は解消しにくいです。
工程そのものの組み方を、国内の工場構成に合わせて見直す必要があります。
手順書は移すものではなく、組み替える材料として使う
海外仕様の手順書を国内向けに置き換えるときの考え方は、
今回のような関税対応の切り替えに限らず、
海外製造から国内製造へ移す製造委託全般で使えます。
手順書に書かれた工程を正解として持ち込むのではなく、
その製品を作るために必要な作業内容として捉え直し、
担当する工場の得意分野に合わせて組み替える、という順番で考えるとよいです。
MACHICOCOでは、工程の組み方から加工先の選定まで対応します
MACHICOCOは東大阪の会社で、
町工場の技術者と提携しながら製品づくりのプロジェクトマネジメントを行っています。
自社に大きな設備は持たず、工程ごとに得意な技術者と組んで進める形です。
今回のような海外製造から国内切り替えの相談では、手順書の工程をどう組み替えるか、
部品支給にするか一括発注にするか、
どの工場にどこまで任せるかといった線引きから一緒に検討します。
設計内容の確認や試作、その後の量産に向けた検討まで対応できます。
相談するときは、今使っている手順書と現物があれば話が早いです
相談の際に送っていただけると助かるものです。
- 現在使っている海外向けの手順書(あれば)
- 製品の写真、または現物
- 寸法が分かる図面(あれば)
- 製品の使い方や使用環境
- 想定している数量
図面がなくても構いません。
加工方法が決まっていない段階でも、図面や現物を見ながら製造方法を検討できます。



