「重さと厚みで高級感を出したいけれど、安っぽくは見せたくない」という相談
既製品のリニューアルを検討している商品開発の担当者から相談を受けました。
手に持ったときの重さと厚みを増やして高級感を出したいという内容です。
重さをごまかしたように見える加工は避けたいという希望があり、
木材を使う案も考えていたものの、仕入れ先の手配ができず、
進め方に困っている状態でした。
重さを足す加工の多くが、内部に金属板やおもりを仕込む方法だった
相談を聞いて最初に確認したのは、これまでどんな加工を検討したかという点です。
挙がっていたのは、内部に金属板やおもりを仕込む方法でした。
外形を変えずに重さだけを足せるので、選択肢としては出やすい方法です。
割ってみると詰め物をしただけに見えてしまい、
狙っていた高級感とは逆の印象になることが気になっていました。
木材を使う設計も一度は図面に起こしていましたが、仕入れ先の当てがなく、
その先に進めない状態でした。
外側の形と、内部の重りの位置が、別々に決まっていく
内部に金属板やおもりを仕込む加工では、
外側のデザインと内部の重りの配置が別の工程で決まっていくことが多くあります。
その結果、パーツの分割線や厚みに無理が出やすくなります。
持ったときの重心が不自然な位置にあると、見た目は整っていても、
触ったときの印象がちぐはぐになることがあります。
今回の相談でも、そこが懸念点として挙がっていました。
もう一つ関わっていたのが、材料ごとの比重(同じ体積あたりの重さの違い)です。
真鍮やステンレスのような比重の大きい材料と、樹脂や木材のような比重の小さい材料を、
感覚だけで組み合わせると、重さは足せても質感の面でちぐはぐになりやすくなります。
比重と外形寸法、持ったときの重心を並べて見た
今回の設計では、各材料の比重、商品の外形寸法、
持ったときの重心の位置の3つを並べて見ていきました。
手のひらに近い部分に比重の大きい材料を寄せてみると、
実際の重さ以上にずっしりとした印象になりました。
先端側に寄せる案も試しましたが、バランスが悪く、安定しない持ち心地になったため、
手前側に寄せる方向で進めることにしました。
今回は厚みを出したい部分と、重さを持たせたい部分が一致していませんでした。
材料の配置と外形の設計を同時に見直しながら、
形と重さの両方が狙った位置に来るよう調整していきました。
真鍮を意匠として使う案と、木材の代わりになる材料を探す案
検討したのは、金属板やおもりを内部に仕込む加工ではなく、
比重の異なる材料の組み合わせと配置を変えて、
重さそのものをデザインとして見せる加工です。
持ち手の一部に比重の大きい材料を意匠として使う案では、
重さの理由が見た目からも伝わり、
隠す加工よりも高級感に近づきやすいという手応えがありました。
重さを「仕込む」のではなく「見せる」という発想です。
木材が手配できない部分については、比重の近い代わりの材料も検討しました。
木材そのものにこだわらず、狙った比重と質感に近い材料へ置き換えることで、
仕入れの制約を設計の条件の一つとして扱う方向に進めています。
比重の差は、他の商品でも設計の材料になる
この考え方は今回の商品に限った話ではありません。
重さや質感を作り込みたい商品開発では、部材を足すのではなく、
材料の比重や配置を計算して見た目と重さのバランスを設計する発想が使える場面があります。
文房具や小型の雑貨、手に持って使う道具のように、触感が評価に直結する商品では、
同じ視点で検討できることがあります。
比重の違う材料をどう組み合わせるかという考え方は、重さを足す場合だけでなく、
軽くしたい場合の設計にも応用できます。
設計の方向から、加工先探しまで
MACHICOCOでは、こうした比重と配置の設計を、
実際に加工できる技術者とのつながりの中で検討します。
東大阪の技術者と提携しており、金属加工や樹脂加工など、
材料ごとに合う加工先を選びながら試作を進めます。
木材や代わりの材料の手配についても、設計の段階から一緒に検討し、
量産に進む場合は加工先の選定まで対応します。
開発や製造で終わらず、売るところまでを見据えて進めています。
手描きのスケッチと、今のサンプルがあれば話を始められます
相談の際に、次のようなものを送っていただけると話が早くなります。
- 重さや質感を変えたい商品の現物、または写真
- 手描きのスケッチや、イメージに近い商品の写真
- 狙っている重さや厚みの目安(数値でなくても「今よりもう少し重く」程度で構いません)
- 使う場面や持ち方など、商品の使い方
- Expected quantity
Drawings are not required.
アイデア段階でも、設計・試作・加工方法から一緒に検討できます。
手書きの絵や写真からでも相談できます。



