人工木材(木粉とプラスチックを混ぜて成形した、
木に似た質感を持つ材料)を使った座面やベンチの設計で、
必ず検討することになるのが隙間の決め方です。
人工木材は温度や湿度によって伸び縮みします。
この性質自体は珍しいものではなく、木材でも樹脂でも程度の差こそあれ起こります。
問題は、伸縮を前提とせずに隙間を硬い材料で埋めてしまった場合に起きます。
硬いコーキングで埋めると、どこにしわ寄せが来るか
座面同士の継ぎ目を、
見た目を整える目的で硬化するタイプのコーキング(すき間を埋める充填材)で埋めてしまうケースがあります。
この場合、材料が伸びようとしても硬化したコーキングが動きを拘束するため、
行き場を失った力が部材側にかかります。
結果として起きるのが、部材の割れや、接合部のずれです。
見た目をきれいに仕上げたはずの処理が、
使用開始後しばらくしてから不具合として表面化するという経過をたどります。
設計段階で伸縮を見込んでいなかったことが、完成後の時間差で問題になる典型例です。
隙間は「埋める」のではなく「逃がす」ものとして設計する
この失敗を避けるための考え方は、隙間を硬い材料で埋めるのではなく、
伸縮を吸収できる部材で確保するというものです。
具体的には、ゴムやチューブ状の部材を隙間に入れることで、
材料が伸びても縮んでも部材自体が変形して追従し、
周辺部材に無理な力がかからない状態を作ります。
実際のプロジェクトでも、座面の細かな隙間について、
材料の伸縮を考慮した確保が必要という前提のもとで検討が進められました。
硬いコーキングで埋める案には否定的な見解が出た一方、
ゴムやチューブ等の伸縮可能な部材であれば検討の余地があるという判断になっています。
どの部材を選ぶか、どの程度の伸縮量を見込むかは、
使用する人工木材の仕様や設置環境(屋外か屋内か、
日射を受けるかどうか)によって変わるため、個別に確認が必要な部分です。
見た目だけを整える判断が、あとで戻ってくる
隙間の処理に限らず、人工木材を使う設計では、
材料の性質を後回しにして見た目を先に決めてしまうと、
どこかの工程でしわ寄せが来るという共通点があります。
例えば、年輪のような加工を意匠として入れる案も出ましたが、
隣接する部材同士にずれが生じると円形が綺麗に出ず、
加工の管理も難しくなるという理由で、実現には慎重な検討が必要という判断になりました。
意匠を優先するか、材料の挙動を優先するかという判断は、どちらが正しいというより、
設計の早い段階でどちらを前提にするかを決めておく必要がある、という性質のものです。
後工程になってから材料の動きが発覚すると、
設計のやり直しや納期への影響が大きくなります。
設計段階で確認しておきたい点
- 使用する人工木材の伸縮特性(温度・湿度による変化量)を事前に把握しているか
- 隙間の処理に、硬化する充填材ではなく、伸縮を吸収できる部材を使う前提になっているか
- 意匠上の加工(溝や曲げなど)が、部材同士のずれによって成立しなくなる可能性を検討しているか
- 曲げ加工を採用する場合、事前に曲げ試験を行い、割れのリスクを確認しているか
人工木材やアルミ複合材を使った什器・ベンチの設計では、材料の性質を踏まえた上で、
どこに伸縮の余地を持たせるかを早い段階で決めておくことが、
完成後のトラブルを避ける判断材料になります。
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